そんなに歩かないうちに、
曲がり角があって、私から菅野君の姿が消えた。
ちょうどそこに、
先生が二人、立っていた。
あ、聞いてみよう。
そう思って
「あの……」
ほぼ同時だった。
私が話しかけた先生の隣の先生に、菅野君が話しかけていた。
この細い廊下をまっすぐ行けば、つきあたりにあると言われた。
私はまた、菅野君の後ろを歩き始めた。
すると突然、菅野君が後ろを振り返った。そして私を見て、微笑んだ。
え?何この人?
菅野君は歩くのをやめている。
待っててくれてるの?
少し急ぎぎみで彼の隣に行くと、彼はまた歩き始めた。何もいわずに。
どうしよう。気まずすぎる、何か話さないと。
「一緒よね?」
菅野君は一瞬、え?という顔をしたけど、「うん」と答えてくれた。
初めて並んで歩いたのに、
なぜだかすごく落ち着いた。

