街がクリスマスに彩られ

 あたしの心もソワソワしてる。



『待ち合わせしたい』と言う希望で

 あたしは駅前の時計の下にいた。



 確かに、この方がデートっぽい。





「お待たせ、そのコート可愛いね」





 目の前に立つ影を見上げると

 オシャレした平井さんが微笑んでいて

 目を見張るほど素敵だった。





「あたしも今来た所、せ、聖人もそのマフラーカッコイイ」





 け、敬語使えないの意外とツラい。



 差し出された彼の腕に

 オズオズと手を入れて腕を組む。



 慣れないけど

 イブまでにちゃんとしなければ!!





「行こうか?」



「うん」





 ドキドキするのは

 きっと初めてのデートだから……。



 今日は、映画を見て

 食事をして帰るらしい。



 緊張しすぎて頭がパンクしそう。










「面白かった?」



「うん」





 女の子が好きな恋愛モノの映画を見た。



 手をつないで

 イルミネーションを見て

 イタリアンダイニングで食事をした。



 まるで夢のようなデート

 この人が本当の彼だったらいいのに。



 なんて

 勘違いしそうな自分がいる。



 でも、これは仕事

 イブが終われば消えてしまう魔法。



 そう、まるで

 午前0時を過ぎたら消えてしまう

 シンデレラの魔法みたいに





 儚い関係――





「……」





 あたしはそう心に言い聞かせ

 束の間の夢を楽しむことにした。