「今日はいろいろすみません…ありがとうございました。」
ぺこりとお辞儀をすると、先輩は笑いながら
「こちらこそ!帰り気を付けてね。何かあったらすぐ電話して。」
と言った。
本当に優しくて、またドキドキしてしまう。
「はい。じゃあ、おやすみなさい。」
「うん、おやすみ!」
少し名残惜しいのは否めない。
そして、振り返ったとき、まだ先輩がいたことに喜んだことも。


ぼろぼろの木造建築のアパートに着く。
階段をきしませながら、今日の出来事を思い出す。
いろいろありすぎた。
泣いたり笑ったり怒ったり…
それに……
「考えない考えないっ!」
先輩にされたことなんか…
恋することへの抵抗はぬぐえず、
部屋に入るとそのまま倒れるかのように眠りに落ちた。