その夜。
夕食をすませた私は、自室で窓を全開にしていた。
10月半ばということで、風が少しだけ冷たく感じる。
だいぶ涼しくなったけど、風が吹かない日はまだ暑い。
ぴゅう、と強い風が、私の頬を撫でた。


今夜は星が綺麗だ。

東京でこんな星を見るのは久々だ。
この家、ごく静かな街にあるとはいえ、ここは東京。
普段であれば街灯が点々と灯っていて、
夜中も、真っ暗になることは全くと言っていいほどない。
ごくたまにだけど、今日みたいに街の灯が少なく
星がよく見える日がある。

手が届きそうなほど近くで輝いて見えるけど
無論そんなことはない。
手が届くことはあり得ない。


あり得ない。