「俊くんだね。」


隣から聞こえた声にびくっとする。

そっか。奈津と一緒にいたんだっけ。
テレビに釘付けで忘れてた。


「俊なんだよね…。やっぱり。」

「なんか違う気がしちゃうよね。ここまで有名になるとさ。…てか、俊くん夢叶えたね。」


夢…。
20歳までにイタリア行く。

そうだ、そう言ってた。
そしてその夢を叶えてクリスマスに会おうって…。


『イタリア移籍についてだれに一番最初に伝えましたか?』

『まだ自分の口からはだれにも伝えていません。一番に伝えたい大事なひとがいるので。』


真っ直ぐな目。
まるでわたしに向けられたような気分になる。

ねぇ、俊。
約束覚えてる?


『おや、それは彼女ですか?』


ずいぶん直球に聞いてきたリポーターさんに俊ははにかんで、そのままサッカーの関係者に奥につれていかれてしまった。


「よしっ今夜は、服買いに行こう!あと下着も買わなきゃね!」

「えっ?ちょっと何言ってんの?」