―――別れのとき。

それは中学の卒業式だった。

友達と写真を取り合ったり、なかには感極まって泣いてる子もいる。

そんな中、わたしたちの思い出の場所である屋上へと続く階段にいた。

どうせなら屋上に行きたいともう何度も思ったが、生憎鍵がかかっていて入れない。
だからここに立ち寄る人もそういない。


『懐かしいよな。ここで俺たちは始まったんだよな。』


ドア手前の一番上の階段に座り、その隣をポンポンと叩きわたしに座るように言う。

そっと腰を下ろして、景色を眺めているとなんだか寂しい気持ちになった。


『こうやってここに座るのもうこれが最後なんだね。』


これからは、もう右側に俊が座ってて肩に頭をのっけることもできない。
温もりを感じることができない。

同じ時間に同じ位置から同じ景色を見ることもできなくなるんだ。

胸にすーっと冷たいなにかが通ったような気持ちがする。