言葉を発することを許されない。


とゆーか、発する余裕もない。


短く触れるキスを繰り返させて、そのすぐ後に激しくキスされた。


そろそろ苦しくなったきた。ということを示すために兄ちゃんの胸を叩くと


「邪魔」


と言われて、兄ちゃんの手に封じられた。


唇を味わうようなキスに思わず身体が動く。


たまに、俺が呼吸できるように唇を離してくれる。


でもすぐに戻ってくる。


そこに磁力が生じているみたいだ。


10分くらい、俺たちはずっと夢中でキスしていた。


唇がジンジンする…。


嫌な痛みではなく、くすぐったいような感じがした。


「李桜だってキスしてたんだな」


怒っている声じゃない。


悲しそうな声に、心臓が締め付けられるようだった。


「ごめ…」


ちゅっ


謝ろうとしたとき、口に優しく柔らかいものが触れてきた。


「なら、今回はお互い様。どっちも悪い」


「…だね」





このときは、こう言ったけど


俺達の本心は、こんなあっさり割り切れていなかった。