泣き続けていた華恋はやっと落ち着いて、ポツリポツリと話始めた。


「お兄ちゃんがね、…結婚するの」


「え…?いい感じになってるって…」


3か月前のことだ。


華恋と華恋のお兄さんは、…関係を持った。


華恋のお兄さんも、華恋に「好きだ」と言ったと聞いていた。


あの時の華恋の笑顔は誰よりも綺麗だった。


…それなのに


「っ、嫌だって、言えなかった…!だって、私じゃ…おにぃちゃんとはっ……」


嗚咽混じりに、でもしっかりと、華恋は俺に話続ける。


「お兄ちゃん『ごめん』って…。その言葉言われた瞬間に、『好きだよ』って言ってくれたあの言葉も否定された気がして…」


「…うん」


「苦しくて苦しくて…一瞬でもいいから、忘れたかったの。…李堵、ごめんね…」


離れようとした華恋の身体を引き寄せて、抱き締める。


…ダメだ。


今華恋を離したら


きっと華恋が壊れる。


そんな気がする。


離したら、華恋が泣けなくなる。


泣かせてやらなくちゃいけない。


「いいよ。俺は離れたりしないから。これくらい、いつでもするから」


これくらいしかしてやれない。


だから、できることだけでも精一杯やらないとなんだ。


「…ありがと、李堵」



パタン…



誰かが部屋の様子を見ていたなんて、この時は気づけなかった。












「あ、ごめん。鼻水ブラウスにつけちゃった」


「ティッシュで拭け!バカ」


「んん!!鼻に押し付けてこないでよ!」






癒された心があり、傷ついて砕けそうな心が生まれた。