最近、帰ってからは兄ちゃんで1色。


勉強をしてない訳ではないけど、ほとんどやってない気がする。


兄ちゃんは授業で覚えてくるから勉強はあまり必要ないんだけど


俺は復習してからしっかり覚えるタイプ。


その復習をしてないのに、俺が点をとれる訳がない。


「李桜?」


「もも、勉強してる?」


頭はいいけど、ももはあんまり真面目に勉強するタイプではない。…はず。


「優斗がさぁ、毎日スパルタ教育してきてさ!嫌でも勉強してるよ~…」


優斗さんはももの執事。


1度も会ったことがないけど、ももがよく話すからどんな人かはなんとなく知ってる。


しっかりしていて、若いのにできた執事らしい。


その執事に毎日スパルタ教育されて、勉強ができてないわけない、か…。


「李桜もお兄さんとイチャイチャばっかりしてると、私が学年1位とっちゃうんだから!」


それは絶対嫌だ。


「今日から勉強やるっ!!!」












「と、いうわけで。今日から兄ちゃんとのスキンシップは減らす!」


帰ってきて早々、俺は兄ちゃんに『スキンシップ禁止令』を出した。


兄ちゃんは紙に書かれた文字を見て顔をしかめた。


そして


ビリッと紙を破った。


「絶対無理♪」


後ろから抱き締められて、そのままソファーに座られる。


「俺、そんなことされたら死ぬよ?」


それでもいいの?


とか、脅迫じみたことを言われて、俺は戸惑うことしかできない。


けど、今回ばかりはダメだ。


成績落としたら、兄ちゃんの弟なのに情けないし


それに、ももに負けたくない。


2位とか、プライドが許さない。


「…じゃあさ、俺が李桜に勉強教えるってゆーのはどう?もちろん、俺も勉強しながら!」


「あぁ……え?」


なんか、絶対にはかどらない気がするんだけど。


「よしっ、決まり♪」


「ちょっ、まっ…!!!!!」


俺の声を無視して、兄ちゃんは鼻歌を歌いながら勉強道具を用意しに部屋へ向かっていった。


…大丈夫、なのか…?


兄ちゃんと一緒に勉強。


これが、あんなことになるなんて


この時の俺は知るよしもなかった。