…え?


まさか兄ちゃんが飲むなんて考えなかったから、俺はポカンと固まる。


すると、顎を持ち上げられて上を向かせられると…


「んんん?!?」


兄ちゃんは俺にキスをして、無理矢理薬と水を飲ませた。


つまり、口移し。


兄ちゃんの口の中で溶けた薬は、水をすごく苦くした。


薬水…。


吐き気に襲われながらも、なんとか飲み込んだ。


口の中はまだ苦い。


「李桜、口開けて」


言われるままに口を開けると


コロンッと口の中に甘い物体が入ってきた。


あ…イチゴミルクキャンディ。


中にミルクがつまっている、俺の大好きな飴。


有り得ないくらい苦かった口の中は、甘ったるいイチゴの味で満たされていく。


「俺にもちょーだい」


チュッと押し当てられた唇。


「んっ…」


俺の唇を優しくなぞる兄ちゃんの舌。


くすぐったくて口を開けると、すぐに舌が入ってきた。


それは俺の口の中で器用に動いて、イチゴミルクキャンディを溶かしていく。


少し苦い舌は、俺の口の中で甘くなった。


苦しさに胸を叩くと、兄ちゃんは軽くキスをして俺の唇から離れた。


「甘いね」


けど、まだ苦い。


そう言ってもう一度キスしてくる兄ちゃんを、俺は素直に受け入れた。