「本気とか…そーゆうの、やめてくれ!!!」


兄ちゃんは、俺の気持ちをなんにもわかってない。


「俺がどんな気持ちでッ…」


兄ちゃんに振り回されてばかりで


いつもいつも、俺ばっか苦しくて


…俺ばっか…


「嘘でも、やめろょ…」


俺ばっか、泣くんじゃんか…。


俺ばっか、兄ちゃんのこと好きで好きで


俺がどんな気持ちになるのかも知らないで


なんでそうやって、気を持たせるようなこと言うんだよ…。


中途半端にどっちとも取れないような言い方して


俺の心を掻き乱す。


そーゆーとこが嫌いなんだよ…。


嘘でも聞きたくなかった。


…笑えないじゃんか…。


突然泣き出した俺を、


兄ちゃんが正面から抱き締めた。


「っ、離せよ…!!!」


「李桜、それってさ…コクられてるようにしか聞こえないんだけど?」


涙でぐちゃぐちゃの俺の頬に、兄ちゃんの唇が軽く当てられる。


俺を宥めるように背中を優しく擦りながら、兄ちゃんの唇が次々に触れてくる。


俺は何も抵抗しないで、優しい唇の感触に浸る。


右耳に髪をかけられて、耳元で甘く


「李桜も俺のこと…好き?」


と兄ちゃんが囁いた。