「優?大丈夫?」
「…!」
ローファーに履き替えた愛子が、いつの間にかアタシの隣に来ていた。
「うん。何でもない…」
「…あ!
坂口さんと松田さんや」
アタシ達がいることに気がついた清水君。
その声に、周りにいた友達もみんなこっちを振り返る。
「裏側やけどめっちゃ下駄箱近いやん!
知らんかった」
「…」
「本当だねっ。
私はもうちょっとあっちだけど」
「そうなん?
そう言えば3年なってからココで2人に会うのは初めてやなー」
…清水君の左隣にいる女の子。
顔を見たことはあるくらいで話したことのない子だけど、アタシに向けている視線が少し強い気がする。
知り合いだったっけ…
身に覚えのない記憶を辿っていると、その女の子が口を開いた。
「行こ、亮。
これからバイトでしょ?」
「あ、そうやった!急がな!」
