それって…
目を大きく開いて固まったままの私に
クスッと微笑んだ先生は、
大きな手で私の頭を優しく撫でた。
「もうすぐ5時だから行ってくるね。
ちゃんとケジメつけてくる」
そう言って、掃除をさっと済ませ
教室を出て行く。
「先生っ…待って!」
立ち止まる先生。
「…それって
先生も、私のこと…」
「ちゃんと言うから。
卒業したら…ちゃんと言う。
それまで待ってて」
教室のドアが閉まる。
取り残された私は、
その場に立ち尽くしたまま
今起きていることも、先生の言葉の意味も
しばらくの間、何も考えられなかった。
