「でもっ…」
「でも?」
「80点以上っていう約束だったから…」
「……」
先生は、解答用紙を机に置いて
クスッと微笑んだ。
「松田さんさ、清水君のためでしょ?
お祭りに行きたいって言ったの」
「え…?」
そのことはまだ言ってないのに…
「清水君のファンの子から聞いたよ、
7月30日が清水君の誕生日だって。
松田さんはどこ行きたいとか何したいとか、そういうことは誰かのためじゃないと言わないから、何かあるんだろうなって思ってた」
そして先生は、沈んでいる私を励ますように笑いかけた。
「行こうよ、お祭り。
清水君のために」
「え…でも、約束が…」
「78点なんて、充分すぎる点数だよ。
松田さんはよく頑張った」
「先生…」
「お祭り行って、みんなで
清水君の誕生日もお祝いしよう」
「…はいっ」
