「宮本先生…ちょっといいですか?」 先生のクラスの女の子が、深刻そうな顔で先生を呼ぶ。 「あ、うん。 ちょっと待って」 立ち上がる先生。 「ごめん、松田さん。 ちょっと行ってくる」 「はい。えっと… もうこんな時間だし、私は帰ります」 「…ん。わかった。 気をつけてね」 「はい…」 先生はその生徒と一緒に、どこかに行ってしまった。 「はぁー…」 緊張が一気にとけて、体がぐったりする。 何だったんだろう…今の… 一人きりの教室。 自分の鼓動だけがやけに大きく聞こえた。