「…おった…」 あそこにおるってことは、 やっぱり公園に来てたんかな。 ちょっと遅かったか… 坂口さんはこの距離でもわかるくらい フラつきながら力なく歩いている。 その横を通り過ぎる車たち。 「…っ」 俺は慌てて坂口さんのもとへ駆け寄った。 雨で冷えきった腕を掴む。 振り返る坂口さん。 「…どこ行くん。 傘もささんと」 「…っ」 俺の腕を放そうと小さな力で抵抗する。 「…とりあえず屋根のあるとこ行こ?」 「……」 坂口さんは何も言わずに首を振る。