そしてまた、キミに。




ーーーーー




「では、問題集を開いて。
今日の問題は56ページです」



はー…アカン。

数学は宮本先生じゃないと
やる気出ぇへんわ。

この先生、優しいねんけど
賢いから何言ってるか全然わからんし。



俺が問題集も開けずにボーッとしているのを見つけた友達が、小声でちょっかいをかけてくる。


「おい、亮。
サボんなよ〜」

「バカなのがもっとバカになるぞー」


「うるさいねん!
お前ら前向いとけ」


ついつい大きくなった声が
先生のところまで届いてしまった。



「どうした?清水」


「へ。
なんでもありません!」



素知らぬ顔で前に向き直っていた二人の肩が、小刻みに揺れている。


コイツら…
後で覚えとけよ。