ーー…
気がついたころには
もう外は薄暗く、夕方になっていた。
「夢……か。
懐かしいな…」
そのとき思っていたこと、
会話の一言一句まで、
自分でも驚くほど鮮明な記憶だった。
そういえば…
晃は、いつからアタシのこと
''優''って呼ぶようになったんだっけ…
コンコンッ
まだはっきりとしていない意識を
ノック音が呼び覚ます。
「優、入るわよ」
「…うん」
お母さんはベッドの端に腰掛けて、
決心したように話し始めた。
「あのね、優。
言わないでって言われてたんだけど…」
「…?」
「優が休み始めた日から
愛子ちゃん、毎日家に来てくれてるのよ」
え…?
