バトンを受け取り、

気持ちを切り替えられないまま
ただ必死に走った。

きっと騒がしいはずなのに、私には周りの音が何も聞こえなかった。






もう少し…


そう思ったとき、
優が校門を出て行く姿が見えた。




優っ…



行かないで…










「ーー松田さんっっ…!!」




再び音が聞こえたときには、なぜか地面に横たわっていた。


あれ…私…



「大丈夫!?」

走る前に隣にいた、同じ順番の女の子が心配そうに見つめている。


「あ…っ
大丈夫だよ」


立ち上がろうとしたけど、

「痛っ…」


足が痛くて思うように動かない。