階段を駆け下りる。
とにかく遠くへ行きたくて
必死になって走った。
走っている間も頭の中で
さっきの場面が繰り返される。
「…っ…」
確かに優は屋上にいた。
だけど優だけじゃなかった。
二人の影がピタリと重なる瞬間を
私はこの目ではっきりと見てしまった。
清水君の気持ちには…
なんとなく気づいてた。
その気持ちがどんどん大きくなっていることもわかってた。
清水君が簡単にそんなことをする人じゃないことも…
それに、優の変化にも気づいていた。
ずっとずっと一緒にいるから。
一番近くで見てきてるから。
わかってた。
わかってたはずなのに…
胸が苦しくて仕方ないよ…
