昼休みを告げるチャイムが鳴る。
お昼食べなあかんし、
そろそろ坂口さん起こそかな。
そう思って声をかけようとしたとき、
グッと眉を寄せた坂口さんの目尻から
一粒の涙が流れた。
っ…
それを拭おうと距離を縮めて手を伸ばす。
すると、小さな唇から
切なそうに微かな声を漏らした。
その声を聞いて、俺は目を見開く。
「っ……晃…」
この距離じゃないと聞こえないような
小さな小さな声だった。
胸の奥に感じた痛み。
俺は涙を拭うことも忘れて
その名前を飲み込むように
震える小さな唇に…そっと口付けた。
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