そしてまた、キミに。

【亮side】



「坂口さーん…?」


呼びかけても全然気付いてくれない。

授業中だから小さい声しか出せないのがもどかしい。



なんか今日の坂口さん、
めっちゃ調子悪そうやな。

焦点の合わない目で何かを見つめたり、目を閉じていたり…
いつも以上に落ちつかない様子。

…大丈夫かな。




ジュースを買いに友達と食堂に行って、
戻ったら坂口さんがいなくなっていた。

授業が始まっても
坂口さんは戻ってこなかった。



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アカン…

気になり過ぎて先生の声が耳に入らない。

その声よりも小さいはずの時計の針の音だけがやけに耳につく。



もうすぐ休み時間だというのに我慢できなくなった俺は、勢いよく手を挙げた。


「先生!…えっと、
ちょっとトイレ行ってくる」

「はい、どうぞ」

「なんか腹ヤバイから遅くなるかも」


女の先生に向かって発した言葉に
クラスメートたちが笑い声を上げた。