そしてまた、キミに。





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ザーーーー…




雨。



辺りには誰も何も無くて

暗闇の中、雨の音だけが耳に響く。




ザーーーーーー…



雨音しか聞こえないこの空間にただならぬ恐怖を感じ耳を塞ぐ。

その手が身体が唇が小刻みに震える。



塞いでもなお響いてくる雨音の隙間から
微かに誰かが呼ぶ声がした。

その声は何度もアタシの名前を呼ぶ。


少し鼻にかかったやわらかい音。

心地よくて愛しささえ感じる。


私はこの声をよく知っている。




声のする方へ走っても走っても
たどり着けなくて、そればかりか
声はどんどん遠ざかっていく。

雨音にかき消されていく…




待って…っ


…晃っ……!