猫はアタシの膝から降りて
清水君が戻ってくるのを待つ。
撫でてもさっきのように甘えてこない。
清水君が何かを持って走って戻ってくる。
「はいどーぞ」
袋から出したのはキャットフードだった。
「清水君…猫飼ってるの?」
「ううん。
この前さ、コイツがここで
力なく寝そべってたから
コンビニで買ってきて食べさせてん」
だからまたココに来たんだ…
「お腹いっぱいなったら
すぐどっかに行っちゃって。
買いすぎた分が余っとってん」
「…そうなんだ」
「またココに戻ってきてんな。
お前、ホンマ自分勝手やなー」
そう言いながら愛おしそうに撫でる。
トクンッ…
胸の奥の何かが音を立てる。
ーー『お。器用に飲むね』
晃が近くのスーパーで買ってきたミルクを猫に飲ませる姿が頭をよぎる。
愛おしそうに撫でる姿が晃と重なる。
