穴が空くほど見られて、痺れを切らしたアタシが「…なに?」と尋ねると、
「いや…坂口さんと猫って
…なんかイイなと思って」
とわけのわからないことを言った。
「…?
どういう…」
「や、いーねんいーねん!
考えんでいーよ」
清水君が猫を撫でると、
清水君がいることに気づいた猫は
アタシから離れて清水君に飛びつく。
そして一層鳴き声を強めて全身で甘える。
「よしよし」
まるで飼い主に甘えるかのように。
「わかった、わかった!
わかったから、そんな舐めんとってや」
すごい…手慣れてる。
「ちょっと待ってて。
この前のやつ余ってるから」
そう言うと猫をアタシの膝の上に乗せた。
…この前のやつ?
「すぐ戻るから」
と言って、
目の前のアパートに走って行った。
あ…そうだ。
清水君、ココに住んでたんだ。
晃と同じアパートに…
