うん…
坂口さんには敵わんわ。
ちよっと強めに出てもすぐ負ける。
せっかく見つけたのに戻ってって言われるし、めっちゃ笑われるし…
「…清水君」
「ん?」
坂口さんに呼ばれて振り向く。
自分で隣に座ったけど、
思っていた以上に顔が近くて
ゴクリと喉を鳴らす。
坂口さんは真っ直ぐ俺の目を見て、
「…ありがとう」
と、少しだけ照れながら言った。
…アカンやろ。
アカン、この不意打ちは。
どんどん速くなる鼓動を抑えようと
落ち着こうとするけど全然ダメで、
必死に深呼吸していると
「…変なの」
と、また笑われてしまった。
