「た、確かにさっきは坂口さんが
勝ったけどいつも勝てるとは限らんし」
「…」
「と言うか坂口さん、震えてる…寒い?」
「…ちょっと」
「先生と松田さんのとこ戻ろ。
人混みの中のほうが暖かいで」
「…」
「ん」
坂口さんに手を差し出す。
けど、坂口さんは手を見るだけで
掴んでくれない。
「坂口さん」
「…」
「坂口さんってば」
「…」
「また''ユウ''って呼ぶで」
…もう呼んじゃったけど。
坂口さんが睨んでくる。
そんな弱々しい目で睨まれても
全然怖くないんやけど。
むしろなんか、
ドキドキするというか…
