そんな話で盛り上がってる間も
坂口さんはずっと上の空。
一番後ろをマイペースに歩く。
モコモコした服装にマフラーですっぽりと口まで覆われた坂口さん。
完全防備っぽいけど
体が小刻みに震えている。
寒いんかな。
顔色も悪い気がする…
俺に見られていることに気づいた坂口さんと目が合う。
「…」
目を細めてジーっと俺を見てから
すぐにそっぽを向いてしまった。
ホンマ最近俺に冷たいな〜
点灯時間が近づいて
人の波の動きが速くなる。
「優、ついてきてるー?」
前を歩く松田さんが声を掛ける。
「うん」
その声を遮るように
俺の前に人が入り込んだ。
「あっ…」
前にいる先生と松田さんは
後ろに気づかずそのまま歩いていく。
やばいハグれる…
