君がいなくなってから僕は言葉を覚えた。

君が歌う下手な歌がちょっと好きだった。

僕は今、空の下にいる。

大浜よりも明るくて綺麗かもしれないよ。




人間にも病気があるということを知って

病院という所に行ったら治るって聞いたのに

君は頑固だったよね…

言うことを素直に聞いてほしかったな


君の胸の上でゴロゴロしてるとポカポカして、鼓動がした。心地よかった。

時々追い出されたけど…

ここに越してきて僕を部屋に入れてくれて、時間が経つにつれて少し君が猫に見えてきた。

人間なのに人間と距離をおいてる

こうなるのを知っていたから君は人間との思い出を残そうとしなかったの?!

それとも丸くなる背中を見られるのが嫌だった?

何度も前を見たのにね、壁は分厚かったのかな…

僕は猫だけど感情はある

寂しいときもあれば、うれしい時もある

君の背中に乗ってると時々丸くなって…そのまま机で何かをパチパチしながら寝てた

顔にも口にもださないけどわかったよ。

何かあったんだよね…

猫だって相談するのに…

間違ってたと思うよ

朝から出て行かないで

無理しないでよかった。

生きるって気持ちはうれしい。
僕も生きることに精一杯だったから…
だけどその強さに跳ね返されることもある。

君は何度も起きあがったけど…本当は焦らないで
もっとゴロゴロしたかった。

僕より君はだれかのことを気にしすぎて…

ソラが言ってたね

忘れさせようなんて都合がいいし忘れる人は忘れるじゃん!
わたしが簡単に忘れられるなら
ここにもこない!

かっこつけてもかっこよくなんてない!

わたしがいるから…

って…。

君はお人好しでいつも最後には孤独になる

僕が嫌いな匂いの人間もいた…それだけ遠ざけたかったけど、君はほとんど遠くにやってしまった。

君は言わせなかったから今でもこのことを知らない人は多いけどね…
人間は僕のことも捨てたりしたから、何も思わない人間もいたのかも…

君の見た景色は僕が思うより残酷だったのかな?!

信じたり頼れなかった?!

僕は人間が好きになれたよ

君はあのころの僕よりも人間が嫌いだったのかもね

だけど今はね、冷たい人間ばかりじゃないのを知ったから少し思うんだ…

君は本当にそれでよかったのかな?!

僕が君を頼ったように、君も頼ればよかったって僕は思う。

あのね

何時間もかけて何度も毛布を運んだんだよ。君が包んでくれたことを真似しようとした。
寝てる時は何も考えないでゆっくり呼吸してた。

怖いとか…痛いとか言って欲しかった。

猫だって痛いことも、怖いこともある。

人間はわかったようにしてくれるけど、僕にもわかる。

あの時言葉があれば…

毛布何度も運んだのにソラにありがとうって言ってたね…!ショックだったぞ!

君が歌えなくなったときに壊したギターはソラがね…飾ってる。後ろの木がないけどさ…

はじめてソラに会った時、ソラは僕が泣くとこっちを見てくれたけど目を合わせてくれなかったから嫌われてると思ってた

君のパソコン?!かな?!
パチパチすると声がするようになってから、2人と一匹でいる時間も長くなった。

楽しそうだった

それから平穏な日が続いたのに


どうしてかな


君の胸に耳をあてて、鼓動が止まったり動いたりした時、たくさん泣いた。

出るだけの声をだした!

人間のために泣いたのなんてあれっきりだよ。

隣の部屋の人が来てくれて

どこかに運ばれてそれからソラが一度だけ真っ黒な服を着てきた後は

ポカポカもゴロゴロもなくなった。
大浜の空を見たのもそれから何年かしてだよ…。

あと少し!って机にはソラが座ってパチパチ打って、音がしてた。

雨が続いた。

君の歌は撮ってあるから僕も少しは歌える。

歌えなくても君はそのままでよかったよ。

好きなことがやりたかったんだよね…

僕は包み込んでくれる君がいるだけでよかった。バタバタ帰ってゴロゴロしてくれる君がよかった。

パチパチして音が出るようになって、好きなことを見つけた時は必死だったね

うれしかった。

君がうれしいと僕もうれしい。


猫だけどうれしいんだよ。

美味しくない餌は何ヶ月分も残って…全部食べたんだよ。

…あのね

…見てるかな?!

2人と一匹で過ごす時間が今また始まって、空が幸せそうにしている。

今度は3人と一匹になるんだって!

君が残してくれたものは僕にもあったんだよ。

君から見たら小さなものでも

僕から見たらすごく大切な時間。

これからの時間はあの日がなかったらきっとなかった。

僕を拾ってくれてありがとう。

一日一日、何もなくても幸せだった。

人間はせっかちだ…
ポカポカしてるだけの日があるとだめなの?!

あのころ
ポカポカだった。

僕はうれしかった。

その日がうれしかった。

次は猫になりたいって言ってたね…猫だって大変なんだよ!

君には難しいかもね、上手に生きないといけないから。
人間のほうが向いてるよ…また歌えるし

猫になっても人間になっても不器用な君には今度は僕が教えてやるから!

大丈夫だよ。今度は壁は僕が崩してやる!

どうだろう…やっぱりさ

また人間になってほしい

僕は猫だから

もっと早く出会いたい。

今はね

この空の下もすごくポカポカしてる。
毎日うれしいって感情だよ。

それが君の望みだったね。

大丈夫だよ。
ソラは大浜に行ったよ。

笑ってる。君が嫉妬するくらいにちゃんとポカポカしてる。

大丈夫…
心配しなくていいよ。

…早いね。

君といた時間は長くて最近のことのようだよ。

もう夏だよ…

夏の空が広がる

僕の覚えてる夏の空よりも毎年少しだけ大きくなっていくよ…

また大浜の空を見れるかな…

方法はわからない

ただ

僕はずっと待ってるにゃ

君に伝えたいことがたくさんある。

僕は猫

変わってるのは
言葉を持った猫だってこと

あとは変わらない…
泣いたり怒ったり…感情もあるんだよ。

夏の空はポカポカ気持ちいいね!





ん?!




おわりにゃ!