あのころ僕の名前はなかった。

君が僕を見つけてくれるまで、ずっと1人だったから。

友達はいたこともある。
人間の家族もいた。

だけど突然1人になった。

それから毎晩フラフラと歩いていた。

遠くから声が聞こえてくる。

人間の声。

人の声がする。

何かの音と声が一緒になってる。

僕は灯りを避けて近くに行く。僕はあまり人間が好きじゃない。

窓が見える。

この中からだ!

音がする。

車の音でも風の音でもない。聞いたことのない声と音が一緒になった…なんだろう。

それから夜になると毎晩僕はブロックをのぼって窓の近くで聞いていた。

ポカポカした日も
少し雨が降った時も

その声と音と一緒に寝た。

だんだん白くて冷たいものが積もる季節になってきた。

雪っていうんだって。

綺麗だけど僕には冷たくて凍えるんだ。

寒くなったきて僕はその場に居ることが耐えられないようになってきた。

そんな日が何日か続いていつものように丸くなって寝ていたら、突然窓が開いた。