後輩レンアイ。


「…走って!」

いつの間にか先輩の手を引いて、走っていた。
すれ違いざまに、人が振り返る。
そんなのを気にもとめないで、俺は無我夢中で走った。
戦わねぇのかって?
無茶言うな、ただでさえ動きづれぇ服着てんのに、喧嘩なんかできるか。

車を止めてあった位置まで走ると、握りしめた手が無性に熱くなり、俺はパッと手を離した。

「っあー…その、大丈夫ですか。」

「………。」

「俺もよくわかんねぇけど、なんか身体が動いて…
アレ、助けてよかったですよね?」

「………。」


…いい加減、なんか言えや!
気まずくなり、恥ずかしさマックスだった俺は、ずっと逸らしていた目を先輩に向けながら言った。

「何とか言ってくださ____」

言いかけて、初めて気付く。
(先輩が、震えてる…?)