後輩レンアイ。


「…なぁんだ、ただの生意気娘だと思ってたら、案外可愛いとこあんじゃん♪

せっかくだし、殺る前に犯しとこーかなー。
こんなにイイ身体、勿体ねぇしよぉ…」

ナイフをあたしの頬にひたりとくっつけながら、男はあたしの首筋をぺろりとなめた。

普段なら体が反応するはずなのに。
甘い声が出るはずなのに。

あたしの震えは未だ止まらず、気持ち悪いとさえ思っている。

身体が、心が、嫌だとしか感じない。

「…さっき、慣れてる聞き方だったよなぁ?
てことは、何回も身体売ってるんだ。

そーか、ヤリマンかー。
締まりがないのはつまんないよなー。
…あ、じゃあ後ろ試してみる?」

ニヤニヤしながら言う男をキッと睨みつけても、涙目じゃなんの迫力もないだろう。

男の手によって壁に抑えつけられたあたしの手はピクリとも動かない。
それは男の力強さを表している。

やだやだやだ…!

(誰か、)

そう思った時、突然低い声が路地に響いた。

はじめは誰かわからなかった。
でも、だんだんと逆行に目が慣れてくると、その姿が見え始める。
そしてそこにいた人物は、あたしにとって意外な人だった。