「…ともかく、お互い実行委員なんだから、押し付けられた者同士仲良くやりましょ。」
「…よろしく、お願いします。」
俺は差し出された手を握った。
「あー、こないだの“残念なイケメン”だ!!」
「宇巳、そういうことは言っちゃだめ。」
「あーごめん、それ俺が教えた。」
そう言って挙手する陸。
ふざっけんな…!!
「宇巳くん…?「宇巳でいーし、残念なにーちゃん」
…お宅、どういう教育をしてるのかな!?
「宇巳、俺は残念なイケメンじゃねぇ。
人生の“勝ち組”って言われるヤツだ!!」
そう、俺は人生の勝ち組。
そのポジションに、不満を持ったことはない。
だが、満足したこともなかった。
別に金持ちになりたいとも思わないし、企業で成功したいとも思わない。
結局、俺の人生は適当なもので。
しょせんやりたいことなんて、ただの“快楽”でしかない。
人間には三大欲求があるというが、欲求ではなく、今や“当たり前”になっている。
それと同じことだ。
俺は結局、楽しければ────…
自由でありたい、ただそれだけなんだ。


