てか、どいつもこいつもふざけんなよ。
なんでもかんでも、押しつけやがって。
俺は何でも屋じゃねぇっつの。

実行委員会が終わると、先輩が俺の方に来た。

なにか、言われる…?
そう思い身構えたが、先輩はすれ違いざまに

「アンタも大変だね」

と言っただけだった。
やっぱり、バレてんのか?
俺が押しつけられたこと。
そうじゃなきゃ、あんなこといわねぇよな?
なんで、バレたんだろ。

“伊達に人間観察してるんじゃないんだから”

あの時の言葉が、不意に頭をよぎった。
そういえば、なんで人間観察してんだ?
それに、あの目は…

人間観察と言うよりも、警戒といった方が…

まるで、周囲から孤立を望んだような目。
先輩は、なにを考えてんだ…?
なぜ周囲を警戒する必要がある?
考えれば考えるほど、先輩は謎だらけだ。

いつか、解ける日が来るのだろうか。

「あ~~~~~~…わっかんねぇな。」
「え?お、王子?」

あ、ヤベ。
素が出た。
「なんでもないよ。」
どうして俺は、『王子』を演じるんだろう。
何か、背中に見えない何かがとりついてるみたいだ。
だけど、先輩は自由。
俺は自由じゃない。

(先輩にないものを、俺はたくさん持ってるのに…)

自分の欲しいものを手に入れられず、それを手にした先輩を見ると、羨ましい、ずるい、そんな感情が這い上がってきた。

やっぱりそれは、幼い頃から裕福な家庭環境にあったからだろうか。

…じゃあ、先輩は?

先輩の、家庭環境は?

変だな、気になってきた。
本人に直接聞くか?
いや、多分無理だ。

だったら、どうする?

…だけど、俺の疑問なんて所詮、薄っぺらいもので。
「あのぉ、王子ぃ~」
そんな甘ったるい声で、俺の頭の中はソイツをどうやって引きはがすか、と言う思考理念に変わっていた。