「それじゃあ、放課後の集まりよろしくね?」
そう言って、担任は教室を出ていった。
最悪。
バイトの時間減さなきゃ。
あーあ、こりゃキツくなるかもなぁ。
「…最悪。」
そう呟くと、また机に突っ伏せた。

〔放課後〕

ホントにあたし、行かなきゃなんだよね…。
(マジでめんどくさい…)
重い足をズルズルと引きずって、会議室に入った。

「失礼します。」
あーあ、こんなことするんだったら、勉強をしたい。
「それじゃあ、始めます。」
そんな司会の声が、さらにあたしをイラつかせた。

「まずはじめに、自己紹介をしたいと思います。
一年A組から…」
そんなこんなで、始まった実行委員会議。
「それでは次に、一年S組…あれ、S組さん?
いませんか?」
そんな声に、ざわついた室内。
それを抑えたのは、ガラッというドアの開く音だった。

「…遅れてスミマセン。」
一瞬静まり、それからきゃあ、と歓声がわく。
志堂龍太君ではないか。
さすがの人気ぶりだ。
…というか、この前うちに来たんだっけ。

あれ以来、家に他人を入れたのは初めてだな。
なんで、いれたんだろう。

“とりあえず、入って”

なんであんなに、すんなりと言えたんだろう。
今までは、なにも言えずにただ、力強く扉を閉めることしかできなかったのに。