「......捨てないで」


あたしのそう言う消え入りそうな声に、お母さんは眉間のしわを深くした。


「『捨てないで』?これはもう、一生使われる事はないのに、持ってる意味があるの?」


――――一生使われない?


あたしはお母さんを睨みつけた。


お母さんはそんなあたしの眼を見て、


「......何?その顔。まさか、ギターをまたしたいって言うんじゃないでしょうね。させるワケないでしょ」


――――パシッ


あたしの手を振り切ってギターを片手に部屋を出る。


悔しくて、悔しくて、あたしはお母さんの背中に向かって、大声で叫んだ。