ミカンとおれんじ ~High School~

先生は棚の上をゴソゴソとまさぐると、こっちを向いて言った。


「綾場、中学の時、ピアノで賞をたくさん取ってたよな。この学校じゃなくてそっちの道に進もうとは思わなかったのか?」


あぁ......何回もされたな、この質問。


さっさと答えて、帰ろう。


「いいえ、ウチの母、勉強以外では評価してくれないんで」


そう言った時、先生の顔が......ぐにゃりと歪んだ。


「ほう......そうか」


そう言った瞬間、


――――がしっ!!


急に腕を掴まれ、壁に押し付けられた。