ここへ足を運ぶのも、卒業して以来だ…。
懐かしい高校の門を見て思う。
「はーやーく!置いていくよー?」
立ち止まる私に弥生が叫んだ。
「待ってよ。ちょっと哀愁に浸ってたの!」
「何それ」
弥生は笑った。
「あ」
そう言った弥生の視線の先を探ると、
「しずかちゃん!」
そう。しずかちゃんが車から降りてきたところだった。
私たちに気づいてしずかちゃんが微笑む。
相変わらず可愛いなぁって思った。
「久しぶりね。どう?元気にしてた?二人とももう社会人ね」
「うん」
私が答えると、弥生はそうは答えなかった。
「もぅ、大変だよ会社は。上司は小言ばっかだし。学生に戻りたいって何回思ったか!」
「あらあら」
しずかちゃんは笑ったが、私は苦笑した。
解るわ、その気持ち…。
そして、心の中で弥生に賛同した。

