しっかり者で可愛くて、みんなから好かれていた担任のしずかちゃん(本名の静花から)。
ヘタレで泣き虫で、すぐしずかちゃんに頼る副担ののび太。のび太はしずかちゃんにベタぼれなのが丸分かりで…だから、あだ名がのび太。
「その二人がどうしたの?」
「…結婚するんだってーーーー!」
「うっそ!嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘!」
「本当だよー。ついにのび太やったかー!っだよね~。さすが、“のび太”」
夜中なのに二人で高い声でキャーキャー言いながら騒いだ。
「本当、よかったぁ。もどかしかったもんね」
「そうね。じゃあ、明日。いつもの駅に待ち合わせね」
いつもの駅とは、高校時代に私たちが登下校で使っていた駅である。
「うん」
そう答えながら、頭には先輩の姿があって。胸がチクリとした。
明日、ちゃんと祝えればいいな…。
スーツを脱いでベッドに潜り込む。
さっき程ではないけれど、まだ涙は零れた。
でも、本当に嬉しいから…。
お祝いしたい。
先輩のことだって……ちゃんと…。
その夜、心臓はどくん、どくん、と音を立てて傷みを増していた。