「おはようございま……あ」



昨日はいつもより早く寝てしまったから、当然のごとく朝早く起きてしまって……。


会社へも少し早く出勤した。




すると、そこにいたのは先日私が振られた上野先輩一人。




「おはよう」



相変わらずの笑顔で返された挨拶に微笑みながら内心では毒を吐いた。




なんで!


寄りにもよって先輩だけなのよ!



空気読みなさいよ、空気!!



私は気まずいっての!!





私の事情なんて知らない先輩には理不尽な話だが、心の中で舌打ちせずにはいられなかった。




でも、そんな私の心情など先輩はつゆ知らず。



「連休どうだった?」


なんて聞いてくる先輩が憎たらしい。


それはそれは爽やかな笑顔で。




でも、私ももう大人だ。

造り笑顔ぐらいは出来るようになった。



「……いつも通りでしたよ」



彼氏でもいれば違うんだろうなぁ。

なんて言って自分に強がったりして。




「佐々井なら可愛いからすぐ彼氏できるよ」


すると彼はとても無責任なことを言ってきた。




あなたがそれを言うの……?




言いたくても喉を通らない言葉。



「やだ、先輩っ。自分は結婚したからって!いいですよね~新婚さんは楽しそうで。私にもその幸せ分けてもらいたいです」


だから、先輩をからかってみる。



でも虚しいだけで。


「あはは……」


返ってきたのは幸福の度合いを滲み出させた笑顔であった。