「……さっきの店員さん、俺のこと“彼氏”だって!」
会計のときに店員さんに言われたことをれーおは今も嬉しそうに呟く。
そんなにあからさまに嬉しそうにされても照れるわ…。
私の彼氏だって思われて何が嬉しいのかしら。
「ねぇ、れーお。れーおは何か買う物とかある?」
「ないよ……。……まなちゃ…」
「れーお。お腹空いたね。何か食べようか」
「……うん」
私たちがお昼に選んだのが三階にあるフードコートのハンバーガーショップ。
「セットでいい?飲み物は…?」
「……なんでもいい」
「わかった」
二人分のセットを持ってれーおが取っておいてくれた席につけば、れーおは財布を出した。
「れーお、いいよ」
「でも…奢られるのは…」
「この位なら大丈夫だから。スーツ選びに付き合ってくれたお礼!」
「俺は、好きでついてきたんだよ」
譲らないれーおに首を振った。
「れーおは私の弟みたいな存在だから…。久しぶりに会えて嬉しいの。だから、奢らせて」
その言葉は利いたようだった。
「うん…」
それかられーおは、当たり障りのない相づちか小さく笑うだけで自分から話そうとはしなかった。
ごめんね、れーお。