「まなちゃんが俺を好きになる可能性ってどのくらいある?」
車を走らせていると突然そう聞かれるから急ブレーキをかけそうになってしまった。
「そうね……、今のところ10パーセントぐらいかしら?」
「……低いね…」
なんて凹んでたりもしたけど、私が
「そう?今10パーセントあるってことは今後もっと伸びるかもしれないわよ?」
なんて言えば、あからさまに立ち直った。
単純ね…ふふっ可愛いわ…。
いっちょ前に恋愛できるようになったかと思えば、まだ可愛いところもある。
久しぶりに会った彼のちぐはぐな成長ぶりを私は可笑しく思った。
「ところでさ、買い物って何買うの?」
「スーツよ。もう、ボロボロだから」
「そう…。女の人のスーツっていったらやっぱりブランド品?」
「……んなわけないでしょ。そんなもの買えるほど稼いでませーん」
「…う~ん…。本当ならここは男の俺が買ってあげるところなんだろうけど…。俺、バイトしてないからお金ないしなぁ…」
真剣に悩むれーおが可笑しすぎて、私は声をあげて笑った。
何言ってるのよ、この子は!
大人が、いくら男だっていっても高校生にブランドのスーツねだるわけないでしょう!
「高校生にスーツねだるほどお金に困ってはないわ」
そう言うとれーおはムッとした。
「俺だって…ずっと高校生なわけじゃないよ」
「今は高校生でしょ?」
「……………」
それ以来、れーおは口を閉ざしてしまった。
今時の高校生ってみんな“高校生”って名詞に反抗的なのかしら。
そうおもいながら、よく行く近所のショッピングモールの駐車場に車を止めた。