「れーおが私を好き……?」
れーおはゆったりと頷く。
うそ…。
「うそ……」
「本当だよ。小学生の時も中学生の時も今も…俺は、まなちゃんしか見えてないんだ」
何、それ……。
……もう、わかんない…。
頭、追いつかない。やだ……。
「…………ごめん…」
短く応えた私にれーおは微笑んだ。
「うん。……じゃあね。ちゃんと告いたかっただけだから…」
「うん…」
バタンとドアが閉まった後、部屋はシンとした。私一人しかいないんだから当たり前だけど。
今日は…何しようと思ってたんだっけ?
ふと壁を見ると、スーツがかかっているのが見えた。そのスーツはお母さんからのお下がりだからもう、ボロボロで…。
そうだ…。新しいスーツを買いに行こう。
そう思ったら私はベランダに駆けだしていた。
「れーーーおぉぉぉー!今日買い物に行こうと思うんだけどー!!一緒に行かなぁーーい?」
駐車場に見えるれーおに向かって思いっきり叫んだ。
れーおの目はまん丸だ。
でも、しばらくして
「行きたいっ!!」
大きな返事が返ってきた。
「よし!準備するからちょっーと待っててーー!」
私はれーおに向かって全開の笑顔を向けた。
やっぱり私、れーおが好きだわ。
それは家族的な意味だけど…これは無責任な優しさかもしれないけど…れーおを悲しませたくないの。
少しでも喜ばせたいの。

