「…ぅ…ん……」
目覚めたら今日は日曜日。
昨日は帰ってきた後、そのまま寝てしまったようだ。
鏡の中のガサガサになった自分の唇を見て昨日のことを思い出す。昨日一生懸命口を洗ったりしたせいで唇はガサガサになってしまった。
れーお……。
どうしてあんなこと……。
ガサガサの唇に手を当てたその時。
ピンポーン。
チャイムが鳴った。
誰だろう……こんな朝早くから…。
と思ったが、時計を見るともう11時だ。
「…はぁい…」
チェーンは取らずにドアを開けると、そこにいたのはれーおだった。
一瞬戸惑ってドアを閉めて…。
そしたら、
「何もしないから…」
ってれーおの声が聞こえてきて。
迷ったけどチェーンを外してドアを開けた。
れーおは私の弟みたいな存在だから、無碍には出来なかった。
れーおは気まずそうに頭を掻いて、小さく微笑む。
「どうして…?」
「あ、えっと…家、この近くなんだ」
そうなんだ…。
………じゃなくて!
「どうして、私の家知ってるの!」
「それは……」
口ごもる彼を見て、昨日彼が言っていた言葉を思い出す。
ー叔母さんに聞いてたよ。
……あぁ。
「わかった…。なんとなくわかったわ、情報提供者の正体」
あんの母親…!
後で小言の電話でも入れてやろうかと考えているとれーおが遠慮がちに言った。
「中、入っていい?」
………。
乗り気ではないけれどやっぱり私はれーおを無碍には出来ないのだ。

