私たちはどちらともなく近くにあったベンチに座った。
生暖かい風が頬をくすぐる。
ふと、隣に座るれーおを見た。
綺麗な顔……。
幼かった昔のれーおはもういなくて、少し淋しく感じた。
「…大きくなったね」
「そりゃあね。成長するよ、俺だって。まなちゃんは、ケバくなったね」
「……!?っな!」
顔を赤くする私を見てれーおは声をあげて笑った。
「しょうがないでしょ!会社だと化粧をしない方が非常識になるんだから!まぁ、もとがいい人は別だけど?私は…」
「ウソだよ。……可愛くなった」
……っ…!?
言われ慣れてない言葉をこの綺麗な顔に言われて更に顔が赤くなった。
今度は別の意味で。
「………………からかわないで……」
「本当だよ」
「もぅっ!」
力が抜けてそのままベンチに体を預ける。
「…………どうしたの…?」
「んー…?」
れーおの問いかけに彼の方を見ずに。
「いいなぁ…って、思ってさ…」
「…?」
「高校…楽しかったなぁ…」
無垢で…
一生懸命で…
毎日が楽しくて……。
今目の前の校庭で部活に励んでいる彼らが輝いて見えてしょうがない。
たった数年しか違わないのに……。
「部活でも入れば良かったのかなぁ……」
私は帰宅部だったから。
「……まなちゃん?」
心配そうに私の顔を覗き込む私れーおに少し、微笑んだ。