帰り際、二人に揃って
「ありがとう」
と言われ、照れくさくなった。
「よかったね、二人ともあんなに喜んでくれて」
「本当、びっくりだわ」
高校の校庭を見つめながら私たちは呟いた。
校庭では運動部が切磋琢磨に部活に励んでいる。
「この後どうする?私はそろそろ家に帰って来週までの仕事進めようと思うんだけど」
「うん………」
私はふと、校庭を見つめた。
そして、そのまま校庭を見つめて
「私は……もう少しここに残るわ」
そう、答える。
なんだか、このまま見つめていたい気分だった。
「分かった。じゃあね」
「うん」
弥生の姿が見えなくなって、また校庭に視線を向けた。
自然と、自分の高校時代の放課後の校庭の部活風景が蘇る。
高校生のとき好きだった同級生。先輩。
そして、昨日フられた会社の先輩。
しずかちゃんとのび太、二人を見ていてずっと先輩のことが頭から離れなかった。
胸が痛かった。
笑顔は全部、造っていた。
バレてたかな…。
のび太は兎も角、しずかちゃんは鋭いからな…。
切なさで胸が締め付けられて、帰ろう、そう思ったときー…。
「ちなゃん?」
え……?
誰……?

