「目を見て話せよ」
冷たく凍った言葉が降り掛かったのと同時に、左手と顎を捕まれて、顔を無理矢理上げさせられた。
時間も時間で、登校してくる生徒達が、何事かと興味深げに見てくる。
恥ずかしい…
パッと視線を逸らして千尋の首もとを見ると、右手を握る力が強くなった。
『俺を見ろよ』
酷くドスの効いた男の声だった。
いつもの優しい千尋じゃない。
いつもの無邪気に笑う千尋じゃない。
今の千尋は、怒りと衝動に任せた、野獣のように見える。
忍より頭2つ分の身長差が、更に恐怖心を煽られ、体が固まる。
「何で榊とは目を合わせてたのに、彼氏の俺には合わせねぇんだよ!」