「付き合ってるから……ちー君じゃ特別感がないよなぁ」
「“ちー”は?」
千尋の隣で夏井と呼び名について話し合っていた智弥が、思い出したかのように千尋を見つめながら言ってきた。
「負けたから飲み物買ってこいよ」
嫌がる千尋に智弥が意地悪な笑みを浮かべて呟いた。
「たまにこの辺で青倉さん見るよ?」
「え!?」
驚いて大きな声を出した千尋を聞いてなかった夏井と田島が見つめる。
「仕方ないから、行って来てやるよ」
高まる希望に胸を躍らせる千尋の手に、智弥から話を聞いた夏井達が100円ずつ乗せた。
「行って来る!」
計400円を握り締めて智弥の家を出て、土手のせいで頭だけ見えるコンビニに向かって走った。
「はぁ、はぁ、」
近いと思って全力疾走してみたが、土手下で休んだ時にはもう喉がつっかえるぐらい息が上がっていた。