前に会ったときのことを思い出すように言われて思い出す育実だが、決して不快にならなかった。
 むしろ初対面であんなに明るく接することができるので、育磨のそういうところを憧れる人くらいだ。

「それは・・・・・・良くないの?」
「疲れるからね」

 一日中元気な育磨に、璃穏は今まで何度も振り回されてきた。

「ところで、育ちゃんも誰かにメールを送っていたの?」

 璃穏が育実の手の中にある携帯電話を見ているので、首を横に振った。

「ううん、誰にも送っていないよ」
「そう?」

 本当は一桜にメールを送りたいところだが、携帯電話が使えないことを璃穏に言った。
 すると、それを聞いた璃穏の表情が変わった。

「嘘・・・・・・」
「嘘なんかじゃないよ」

 どうして自分が嘘を吐いていると思われているのか理解できずにいると、璃穏は友希から聞いた話によると、友希が一昨日、一桜にメールを送ったら、きちんと返事が返ってきたらしい。

「本当に?」
「うん。そう言っていたよ」

 だから璃穏は育実がおかしなことを言ったので、首を傾げていたのだ。
 育実は確認をしようか迷って、結局そうしなかった。