「ダメッ‼」



さちによって俺は腕をつかまれた。



「少し、風邪っぽいだけだから…」



潤んだ瞳でさちは言った。
でも明らかにさちの顔は赤いし、俺を掴む手も熱かった。



「ダメもなにも、そんな状態でほっとくわけにいかないから。」

「大丈夫だから、もう少しだけこうしてれば帰れるようになるから。」



これ以上いくら説得しても言うことをさちが聞いてくれないと分かっていた俺は諦めて、さちの頭に手をぽんぽんと乗せてなだめた。